【こんな症例も治りますシリーズ 840】『 高齢猫の口腔出血 ― 腫瘍との鑑別が重要だった歯周口内炎の症例 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上の写真は、猫ちゃんの口腔内出血の歯肉です。

 

猫 ミックス猫 15歳 オス(去勢手術済)

 

 

【 よだれに血が混じる 】との主訴で来院されました。

 

 

◆◆ 診察時、口腔内を確認すると、歯肉の著しい発赤・腫脹が認められ、強い炎症が疑われる状態でした。流涎も多く、疼痛により食欲低下が起きている可能性も考えられました。

 

 

■ 本症例では臨床所見から歯周口内炎(猫の慢性口内炎)が強く疑われましたが、
15歳という高齢である点、そして出血を伴っている点から、

 

 

・ 口腔内腫瘍(特に扁平上皮癌など)
も重要な鑑別として考慮する必要がありました。

 

 

 

 

■■  初期対応

 

 

■ まずは内科療法(抗生剤、消炎鎮痛など)を実施しましたが、明らかな改善は乏しく、根本的なコントロールは困難と判断しました。

 

 

 

 

■■  麻酔下処置と精査

 

 

■ 次のステップとして、全身麻酔下で

 

 

・ 歯石除去(スケーリング)

・ 重度歯周病歯の抜歯

 

を実施しました。

 

 

 

■ 同時に、腫瘍性病変の除外のため、歯肉の生検を行い病理組織検査に出しました。

 

 

 

 

■■  病理組織検査結果

 

 

■ 生検の結果は、腫瘍性変化は認められず、強い炎症性変化のみという所見でした。

 

 

■ この結果から、本症例は**腫瘍ではなく炎症性疾患(歯周口内炎)**と判断しました。

 

 

 

 

■■  術後経過

 

 

■ 処置後は経過良好で、
約1週間後には歯肉の炎症は明らかに改善し、流涎や出血も大きく減少しました。

 

 

■ 食欲や活動性も回復し、QOLの改善が認められました。

 

 

 

 

■■  今後の管理

 

 

■ 猫の歯周口内炎は慢性的に経過することが多く、

 

 

・ 再発の可能性がある

・ 継続的な口腔ケアが重要

 

な疾患です。

 

 

■ 本症例でも今後は

 

定期的な口腔内チェック

必要に応じた追加治療

 

を行いながら、長期的に管理していく方針としています。

 

 

 

 

■■  まとめ

 

 

■ 本症例は、高齢猫の口腔出血に対して、腫瘍との鑑別を慎重に行いながら治療を進めた症例でした。

 

 

■ 特に高齢動物では、

 

・ 単なる炎症と思っていても腫瘍が隠れている可能性

・ 逆に重度炎症が腫瘍様に見えるケース

 

もあるため、生検による確定診断が非常に重要です。

 

 

『 よだれに血が混じる 』

『 口臭が強い 』

『 食べづらそう 』

 

 

といった症状がある場合、早めの受診と精査が推奨されます。

 

 

■ 今後も定期的なケアを行いながら、良好な状態の維持を目指していきます。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

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